《MUMEI》 人数が増えたので、俺達は、リビングのソファーに座る事にした。 「…さて」 果穂さんが、まず、俺を見つめた。 「やっと、慎君、うちの志穂に食い付いたって?」 「食っ…」 「母さん!」 俺と志穂が真っ赤になったのを見て、果穂さんは、ニヤニヤしながら続けた。 「いや〜、徹を説得して、送り込んだかいがあったよ。 やっぱり、恋愛を発展させるには、わかりやすいライバルは必要だよね」 ―つまり。 徹の、俺を挑発するような言動は、俺と志穂の仲を発展させる為の『演技』だったのだ。 その、わかりやすいライバルの存在で、俺と、志穂が結ばれたのは、事実だが。 「あの…」 「ん?」 俺は、恐る恐る訊いてみた。 「それで、俺が諦めちゃったら、どうしてました?」 「ん?二度と会わせないように、志穂を海外に連れだして、私が選んだ男と結婚させてたよ? 徹の他に、ちゃんと選んであったから」 …サラリと果穂さんは言った。 やはり、かなり、怖い人だ。 前へ |次へ |
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