《MUMEI》 それでも、教室の前では足がすくんで、 どうしても、入れなかった。 窓の外を眺める二階堂君の横顔を見つけたけど、 やっぱり、入れなかった。 あたしは、ゴミ箱の中からくつを探し当てて、 これからどうしようか考えた。 …もうすぐ昼休みになっちゃう… 服や髪は雨で濡れて、くつも汚れてしまっていた。 ―何でかは、わからない。 だって、立ち入り禁止だし、今まで入ったこともない。 でも、真っ先に浮かんだ場所―… ―…『屋上』だった。 屋上に、行こう。 あたしは、 学校で一番空に近い場所に向かって、 歩き出した。 前へ |次へ |
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