《MUMEI》

「本気だよ」
「慎君に似てるって保障はないのよ?」

(そうだ)

祐希は、俺に似ていない、…志穂に似た子供が産まれても、平気だというのだろうか。

俺は、無言で二人のやりとりを聞いていた。

志穂の両親も、黙って見守っている。

「俺は、…恋愛対象じゃないけど、人間として、お前の事…志穂の事、好きだよ。
もし、俺が、女もイケる体質なら、慎とお前を取り合ったかもしれない」
「…祐希、君」

多分、それは、祐希の、最初で最後の志穂への告白だった。

「だから、…大丈夫だ。
俺は、その、二人の子供を愛する事ができる」

そう言って、祐希は笑った。

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