《MUMEI》 まあ、結果的に結衣ちゃんは無事だった訳だし。 これに関しては本当に心からそう思って、胸を撫で下ろしていた。 だけど… あたしは何かが崩壊した気がした。 この訳のわからない現象。 大した事のないものから、こんな大事に至るものまで。 実際、先に挙げたもの以外でもいくつかあった。 まだ知り得ない事実を察したり、目の前で次に起こる現象を「見た」り。 なんであたしなの。 今だって、叫んだだけで何も出来ていない。 たまたまびっくりしてくれて、たまたま固まってくれて、たまたま動きを止めてくれただけ。 これらがなかったら…? 友達の死をわかっていながら、しかも目の前で… 止めてよ。 そんなに出来る子じゃない。 あたしは神様でも救世主でもない。 こんなの… 死神じゃん。 これがきっかけで、単に「またか」と感じていたものが、「恐怖」に変わった。 前へ |次へ |
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