《MUMEI》

きっかけは、昨日。

家族の大反対をおしきって、『家族にスペアキーを持たせる事』『家族に定期的に変わるオートロックの暗証番号を教える事』『時々、家族を泊める事』を条件に、一月からマンションで一人暮らしをしていた私は、その日、初めて、自分から、実家を訪れていた。

私が来ると聞いて、元々実家にいる両親と、次男の秀(ひで)兄さんはもちろん、彼女と同棲中の長男の大(とも)兄さんと、お嫁に行った貴子ちゃんまで、集まっていた。

「で、どうしたの?」×5
「え…と、ね…」

五人に詰め寄られて、私は、小さな声で、質問した。
「…あのね。
同級会って、何、着てけばいいかな?

……
できれば、可愛くして、…行き…たくて」

「貴子!
龍平(りゅうへい)に連絡!」
「了解!」

その言葉に、母さんと貴子ちゃんが、テキパキと動き出した。

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