《MUMEI》

「そうか…やっとか…」
大兄さんが、感慨深げに、私の頭を撫でた。

「…?…」

男性陣が、ものすごく優しい眼差しを私に向けている。

「仲村君…来るんだろ?」
父さんの言葉に、私は赤くなった。

「ち、違うの、別に、そういうつもりは…」

私は、慌てて否定した。

そう。

私は確かに仲村君に会いたくて、同級会に行くけれど。

(もう…)

私が、仲村君に愛される資格など、無いのだ。

(それに…)

中三のあの日に。

卒業式に、告白できなかった時点で…
私は、仲村君を諦めた。

そんな私の頭を、大兄さんはずっと優しく撫で、父さんや秀兄さんは、いつまでもニコニコと笑っていた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫