《MUMEI》 「そうか…やっとか…」 大兄さんが、感慨深げに、私の頭を撫でた。 「…?…」 男性陣が、ものすごく優しい眼差しを私に向けている。 「仲村君…来るんだろ?」 父さんの言葉に、私は赤くなった。 「ち、違うの、別に、そういうつもりは…」 私は、慌てて否定した。 そう。 私は確かに仲村君に会いたくて、同級会に行くけれど。 (もう…) 私が、仲村君に愛される資格など、無いのだ。 (それに…) 中三のあの日に。 卒業式に、告白できなかった時点で… 私は、仲村君を諦めた。 そんな私の頭を、大兄さんはずっと優しく撫で、父さんや秀兄さんは、いつまでもニコニコと笑っていた。 前へ |次へ |
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