《MUMEI》

そして、今度はピンクのミニワンピースに着替えて、試着室のカーテンを開ける。

「こんなに可愛いのに〜」母さんが私を抱き締めた。
母さんは、昔から、何故か私がお気に入りらしく、こうして、過剰なスキンシップをしてくる。

チラッと見ると、貴子ちゃんも、うんうんと頷いていた。

家族は皆、私に甘いと思う。

(そういえば…)

家族どころか、親戚も、私にやけに優しい気がする。
…昔から。

こんな、何の取り柄もない私に、皆が優しい理由がわからなかった。

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