《MUMEI》 無銘と夕凪「・・式夜、刀を。」 側に来ていたハンディングが式夜に向かって手を出す。 「記憶が曖昧なんですが・・」 腰に差していた刀をハンディングに渡す式夜。 「元々「夕凪」は「無銘」に我が銘を与えただけのモノ。そなたが「無銘」を覚えておるとは思わなかったのだがな。」 鞘から刀身を少しだけ出す。 「昔から持っていた大切な刀だという事は思い出したのですが、詳しい事はまだ・・」 刀身を見つめながら式夜が考え込むように言葉を出す。 「私の事を忘れてるんだ・・式夜のバカ。」 「無銘」が声を上げる。「夕凪」だった頃に比べ幼い感じのする声。 「式夜、「無銘」を「夕凪」に戻す事もできるが?」 「・・・このままで、大丈夫だと思います。」 しばらく考え、きっぱりと迷い無く答える式夜。 「確かにね、今の式夜なら使いこなせるだろうし・・「無銘」も無茶しないでね?」 ハンディングの手から「無銘」を受け取り、刀を抜き放つ。 銀色の刀身が揺らめくように色を変え、瞬きの間に元の色に戻る。 「・・式夜に怪我させないように頑張るだけだもん。」 「無銘」が不満そうな声を出す。 その声に苦笑しながらも、彩詩は「無銘」を鞘に戻し式夜に渡す。 「「無銘」、これからもよろしく。」 受け取り、「無銘」に声を掛ける式夜。 「強くなるんでしょ?一緒にがんばろ!」 「はい。」 頷き、腰に差す。 「・・・移動が始まったようだな。」 ハンディングが外を示しながら声をかける。 「了解、急がないとね。」 棚に置いてある剣と腕輪を装備し彩詩が頷く。 病室を後にする三人。 日が傾き始め暗くなっていく。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |