《MUMEI》 うわっ。 腕時計付けたままじゃん。 危なかったなぁ。 そこでスススッと更衣室の戸が開いた。 「一葉さん、そろそろマズいかもです!」 『え、まじかぁ今行くっ。』 こういう時に限ってなかなか外れない。 『あああ、もぅ簡便して!』 マズいマズい。 早く! 『や、やった。』 外れたぁ〜。 さっさと鞄に入れて… … 『もう!』 制服ちゃんと綺麗に入れておくべきだった。 ジッパーに絡まってる… 「一葉さぁ〜ん。」 焦ってる表情の真緒ちゃん。 『うん!』 もういいや。 今日は他の部活の人はもう来ないし。 あたしは腕時計を… 何故かロッカーの「上」に置いた。 焦って思考回路がズレたのかも。 その時だった。 誰かが泣いてる姿が「見えた」。 …へ? でも今の視点ってさ。 いかにも「泣いてる人」が見てる視点だよね…。 … 知らない。 あたしはそのまま更衣室を後にした。 前へ |次へ |
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