《MUMEI》 ネコ 〈私〉今日は、最高の日!! だって、 私の憧れの西城先輩に、デート(!?)に誘われたから!! ―…今度の日曜、絶っっ対に空けとく!! ウキウキしたまま、ホームのベンチに座って、 本を読みながら電車を待つ。 …ふと視線を上げると、 向かい側のホームにいる、一人の男の子と目があった。 あれは―… 同じクラスの椎名くん。 ―で、隣にいるのが瀬田くん。 …椎名くんは、 なんだか少し、怖い印象がある。 私は、彼に少し微笑むと、本に目を戻そうとした。 白い影が視界の端に入った。 視線を戻すと、 『にゃー』 真っ白な、子猫が。 ―なんで、線路に!? ≪―…危ないですので、黄色い線の内側へ―…≫ アナウンスが流れても、ネコは動こうとしない。 …大変!!電車が来ちゃう!!! あたしは、読みかけの本を投げ出して、 線路に飛び降りた。 線路にうずくまるネコを抱きかかえる。 ネコは、まるで身の危険を感じていないように、 小さく鳴いた。 ―…もしかして、この子―…!! 私はホームに帰ろうと、急いで踵を返した。 でも―… 足が、動かない。 下を見ると、ローファーの踵が線路にはまっていた。 必死で靴を引き抜こうとすると、 靴が脱げて、私の身体は線路に投げ出された。 電車が迫ってくる。 ―…今日は、最高の日だったはずなのに―…!! 私はネコを抱き締めて、きつく目を閉じた。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |