《MUMEI》 ―それなのに。 「よっ!」 (え…) 待ち合わせ場所に現れた人物は… 「木下、君?」 仲村君ではなく、クラスのお調子者の、木下君だった。 木下君は、笑いながら、白い封筒を、ポケットから、取り出した。 (それは…) 「返して!」 私は、その封筒を取り返そうと、手を伸ばした。 「おっと!」 木下君は、慌てて避けた。 「いや〜、びっくりしたな〜、慎の下駄箱の前に高山がいたから、何かと思ったら… まさか、あの、たかまるが、慎に、告白、とはね」 『たかまる』 バキッ ドサッ 私は、そのあだ名が大嫌いで、いつも言った相手を殴り飛ばしていた。 「イテテ… 何だよ。 俺、協力してやるつもりで来たんだぜ?」 殴られた頬を押さえながら、木下君が、私を睨んだ。 「何…言ってるの?」 私は、怒りで震えながら質問した。 「そのかわりさ〜」 木下君は、笑いながら、 「…貴子さんと俺の事、協力して?」 と言った。 私は―私を利用して、家族に近付こうとする人間も、容赦なくボコボコにしていた。 私は、木下君から私が仲村君に宛てたラブレターが入った白い封筒を取り返した。 ―その時。 「健志?! 大丈夫か?!」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |