《MUMEI》 『・・・・・・』 あれ? ここに置いたよね。 奥にいっちゃったかな? ちょっと上がってみよ。 よいしょ…っと。 えーと… … 「どした?」 サユ… お兄ちゃんが送ってくれた腕時計がね… お気に入りの腕時計がね… 『ない…。』 「ん?何が?…いち…は…?」 半泣きになってた。 『…時計。…ここに置いたのっっ…。』 「まじで?!ないの?…ロッカーは?」 サユや、他幾人かの友達はあたしが時計を大事にしてる事を知っていた。 そっか…あの後誰かが入って、気ぃ遣ってそっちに移動してくれたのかもしれないし。 『見てみるっ。』 ありますように。 神様仏様その他どっかの偉い人! … … 『ない。』 「えーっっ!!」 状況を察知した他の何人かも、一緒になってあちこち探してくれた。 だけど、あたしの時計が出てくることは二度となかった。 前へ |次へ |
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