《MUMEI》

佐伯はニヤニヤしながら見た後俺に返してきた。


「これがゴールドになるといくらになんだ?」




「あーそうそう!これもゴールドのもあるんだっけ、クロムハーツはゴールドになるとべらぼうにはね上がるからなぁ、そうだな、100万するかしないか位じゃないかな…」


「なっ!そ、そんなにすんのか!?
はー、こんな腹の足しにもならねえ指輪がねえ…」




俺は薬指に指輪を戻す。



ちなみに最近自分のサイズに直したばかりだ。



「まさか秀幸!それと引き換えに買ってやるつもりか!?
いや、引き換えにねだられたっつ〜オチの方がビンゴか!?」


「いや、はあ、まあ、…」




この指輪欲しさに何でも買ってやるって言っただなんて…格好悪くて言えねー。



「なー、やっぱそれも未入荷?」




「うーん、未入荷っつたって少しはバイヤーが持ち込んだりしてるから出回ってはいたと思うよ、ただ、これは一年以上前に出たヤツだし元々数量限定だから…
今更ニューヨークまで買いに行ったってよほどな口聞きがないと入手困難かもなー」


「そうか〜!はあ…」



ニューヨークなんか行く暇ねーし何のコネもねーし…。



はあ、終わった。





「で、これなんだけどさ…」

佐伯は十字架を指先で持ち上げた。



「何のブランドか知ってる?」

「は?ブランドなのか?…いや分からん」



俺に聞くな〜!んな分かる訳ねーだろうが!

「はあ…、アーカーだよ、かなり基本なんだけどなあ…
んー、で後十字架ってもう言うなよ、これはクレオクロスってゆうんだよ」

「はあ」



あ、もう一瞬で忘れた。




「実はね、裕斗君とバーで会った時、これを欲しがってる情報をゲットしてたんだな〜!」



「なっ!そりゃ〜マジか!なんだ!そーゆう事な!佐伯ちゃんもー大好き!愛してる!もーめちゃくちゃに抱いてくれー!」



「…アホか、誰が秀幸なんか…。なんか裕斗君の話によると引越しで今金欠らしくてなー、
彼ショーケースでこれ見かけて一目惚れしちゃったらしくて…、
だから後で買うように何だか写メとっといたんだって、それを俺に見せてくれてたから気を利かして買ってきてやったんだよ」


「はー、確かに裕斗の白い肌に合いそうだな…」

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