《MUMEI》 10年ぶりの再会(あれから、10年、か…) 私が、ぼんやりしていると… 「お姉ちゃん?…出来たよ?」 貴子ちゃんが、話しかけてきた。 「うん…ありがとう」 鏡に映る私は。 マスカラとアイライナーのおかげで、いつもより、目が大きく見えた。 唇も、ピンクのグロスで、ツヤツヤしていた。 「…気に入らなかった?」 「…ううん。違うの、ちょっと、卒業式の事、思い出してて」 心配そうに訊いてくる貴子ちゃんに、私はそう答えた。 「あれは、木下のバカのせいじゃない!お姉ちゃんは、悪くないわよ!」 「うん。でも、こんなに綺麗にしてもらっても… きっと、仲村君の中では、私は暴力女のままじゃないかな…て」 「お姉ちゃん!」 うつむいた私の両肩を、貴子ちゃんが掴んだ。 前へ |次へ |
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