《MUMEI》
良く見りゃ若い男の子なら違和感なく馴染みそうなデザイン。
真っ白な肌、浮き上がった鎖骨に付けているネックレスはいつもエロさを感じる。
「悪いなあ、で幾らよ」
俺は財布をケツポケットから出す。
「はは、だから土産だって言っただろ、いーよ」
「良かねーよ、俺にってーんならともかく裕斗にじゃー貰う義理はねーし、ほれ、幾ら?」
「はーもう、義理どころか慰謝料にしたらこんなの利息にもなりゃしないんだから…
分かったよ、そうだな、俺が少しでも受け取っておけば完全に秀幸からって事になるもんな」
じゃー5万頂戴って言われた。
そんなんで良いのかって尋ねると残りの半分位出させてくれって。
まー長年罪悪感と戦ってきたのを知っている親友の立場としちゃ分からんでもなかったから、それで決着をつけた。
俺は大切にそれをバッグの中にしまう。
それからまた二人で生中をおかわりした。
「そうか…、裕斗は親父さんと佐伯の事分かってくれたんだ」
「うん…」
「強引な手口で引き合わせにしろ結果オーライか、しょうがねえな、許してやっか」
「有難う、ごめんな」
「いやー、何で何処のホテルに泊まるのかまで聞いてきたのか今更分かったよなー!クソーもう引っかかんねー」
なんだかビールの味分かんなくなってきた!
次は日本酒いきたくなったから一気にグビグビ飲んじゃう。
「あの人が言ってたんだけどさ…」
佐伯もいーかげんグビグビ飲んでいる。
「うん」
「裕斗は随分と入れ込んでいる相手がいるみたいだって…、
あーやっぱりそれって秀幸の事だよね?
うっわ〜!信じらんね!
あんな綺麗な子がお前みてーなオッサンにベタ惚れしてるなんて」
「俺はお前が信じらんねー。こんなに付き合いなげーのに今だに俺の良さが分からねーなんて」
同い年にオッサン言われてちょっと腹立ったけど、いや…それよか、裕斗が俺にベタ惚れだなんて。
分かっちゃいるけど他の奴から聞くのは照れる。
嬉しくてもう…
はあ、会いてー。
・
前へ
|次へ
作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ
携帯小説の
(C)無銘文庫