《MUMEI》 …どうなってんだろう。 ガチャ。 みんなの視線が…痛い。 「おぅ、大島。」 『あの…すみませんでしたっ。』 「大変だったな。ほら、座れ。」 …え?何が? 『は、はい…。』 なんなんだ一体…。 前田さん…何を吹き込んだんだろ。 それでも授業は、いつもと変わらずに進められて行った。 それにしても今日は疲れたな…。 まあ部活の後に塾まで走ったってのもあるけど。 放課後のあの出来事や…時計。 あの腕時計は、上京している上のお兄ちゃんが送ってくれた物。 うちは5人家族で、父、母、長男、次男、長女あたし。 お兄ちゃん、とあたしが呼んでいるのは、長男の大島一(オオシマハジメ)。 大島家の長男で、あたしよりも8つ上の21歳。 ちなみにあたしは3月生まれの早生まれだから、13歳になってまだ一ヶ月ちょっと。 あ、結衣ちゃんなんか4月生まれで、ついこないだ14歳になってる。 で、そのおにいちゃんがあたしの13歳の誕生日に、プレゼントとして送ってくれたのが例の時計だった。 当時○-shockと共に(…かどうかは微妙かな)ちょっとだけ流行っていた、SP○ONっていうものらしい。 (どちらも某有名腕時計ブランドより) まるまるしてて、つるっとしてて、色は真紅のような赤色をチョイスしてくれていて、無駄な装飾やゴツゴツ感がなくて綺麗で大好きだった。 これを、自らの不注意で一ヶ月でなくしてしまった…。 お兄ちゃんにごめんなさいの電話しなきゃなあ…。 前へ |次へ |
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