《MUMEI》
疲れた!
「何?まーだ立ち直れねーの?」
「ムリー、昼間眠くて夜眠れねー…だりぃよーわりーけど寝るー」
帰国して2日たつのに時差ボケから今だに解放されない。
お陰でまだ直哉にも会ってない。
バッグを取りに来た加藤の相手なんかも無理。
はっきり言って
うざい。
ガサガサ音がする。
「あー!これだよー!これ!やっと俺の手元に…、裕斗サンキュー!、幾らした?」
「んー何ドルだっけ…もういーよ後にしよ?、寝かして…」
「全くしょうがねー奴!」
加藤が何故か俺の隣に寝転んできた。
安物のシングルベッドがギギギと悲鳴をあげた。
「なんだよウゼ」
「折角来たのに帰んのやだもん、俺も昼寝する!」
「もー勝手にしてくれー」
もー頭まわんない。
俺は加藤に背を向け壁ぎわにくっついた。
加藤もギシギシと音をたててもっとこっちに寄ってくる。
「狭いー」
背中にピタッとくっつかれた。
あー本気でウゼー!
「もー喋んな、寝るなら寝ろ、もー喋んねー」
軟かな日差しがカーテンの隙間から漏れ、それが肩口にあたり、なんとも暖かくて気持ち良い。
さらに壁が影になって眠気が倍増。
うとうとしながら意識が薄れていく。
僅かに意識がなくなる中そっと布団をかけられた。
上掛けを折り曲げてかけてきたみたい。
加藤はゴソゴソとその下の毛布に躰を滑り込ませ、俺に寄り添いながらはあーと息を吐いた。
まー良いかって思いながら、俺も長く息を吐き出した。
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