《MUMEI》
一年間の猶予
―中学の同級会の翌朝。

ガチャッ

突然、私の住んでいるマンションの部屋の、玄関の鍵が開いた。

「やだ、何でここにいるの?」

そう言って、入ってきたのは、母さんだった。

「おはよう」

…続いて父さんも入ってきた。

よくある事なので、私は、冷静に、

「…おはよう。だって、私の部屋だし」
と言った。

これくらいで驚いていたら、母さんとはとても付き合えない。

私は、いつも通り、ダイニングキッチンのテーブル席で、純和風の朝食を食べていた。

「わかった!連れこんだのね!

隠れてるんでしょう、どこかに!」

何か思い付いたように、母さんが、言うので…

「誰もいないよ」

と、私は答えた。

「じゃあ、もう、帰ったの? それとも、外でさっさと済ませたの?」

母さんが、私の向かいに座り、首を傾げた。

「だから、何の事?」

私は、心当たりが無かった。

すると、母さんは…
「ちゃんと仲村君、食べたんでしょう?
あ、食べられたか!」

と言ってきた。

私は、茶碗を落としそうになった。

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