《MUMEI》 「どっちも、してないから!」 「何で!」 真っ赤になって、私が答えると、母さんが、真剣な顔で訊いてきた。 「何でって…」 …母さんは、知っているのに。 私が、仲村君に…好きな人に愛される資格がない、体だという事を。 「好きなんでしょう? それに、『そんなの』、気にならないわよ」 「なるわよ!」 母さんが指差したところを、私は両手で隠しながら、反論した。 「じゃあ、これから、どうするの?」 「母さん?」 母さんの目は、真剣だった。 「これからずっと、『そんなの』気にして、一人で生きていくつもり? 私は、可愛い志穂に、そんな人生歩ませるつもりは無いわよ!」 「でも…」 (結婚なんか…できるわけない) 「だから、私が選んできてあげるわ」 「え?」 母さんが、ニッコリ微笑んだ。 「私達が、海外出張行くの、知ってるわよね?」 母さんの言葉に、私は頷いた。 両親は二人で、来月から一年間海外出張に行く事になっていた。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |