《MUMEI》
反撃・・
「追撃をかける必要はない!」
バラバラと撤退していくコーリア軍を見据えながらロゼは追撃をしようとする騎士達を留める。
少なからず被害は出ている。その状況を確認しようと・・・
ズドドドドドド!!
上空から炎弾が降り注ぐ。
「く・・敵位置は!?」
「探知できません!!」
応じる声は焦りを含んでいる。
シールドを展開しているものの、一発、一発と炎弾は確実にシールドを抜けてくる。
「怯むな!!」
シールドを貫通した炎弾を剣で斬り消しながら叫ぶ。
ヒュィン!!
その声に反応したかのように、何かが結界を打ち貫き、ロゼの横を抜けていく。
ドォォォン・・
後方で大きな雷が爆ぜる。
「何事だ!!?」
振り返ったロゼの目に写るのは倒れ付す近衛騎士達の姿と焼け焦げた大地。
ヒュギィィン!!
再び飛んできた何かを長剣で弾き返すロゼ。
弾き飛ばされた金属片は地面に転がった。

「お〜やるねぇ、流石は噂に名高いロゼ皇帝。」
近衛騎士達が必死に防いでいる場所から直線距離で約2キロの地点。
大地に伏せ、長大な銃のスコープを覗きながら男が笑う。
「遊んでいる場合か、ギリス。さっさと討ち取るぞ。」
隣に佇む魔道士風の男が無表情に言い捨てると詠唱を始める。
周囲には多重に結界が張られている。
「ケドよ、加速させた弾丸を切り伏せたぜ、あのお姫様。久々に狩りを楽しめそうだぜ。」
ギリスと呼ばれた男は可笑しそうに笑いながら再びロゼを狙う。
「次は・・どう避けるよ、お姫様?」
ズドン!!ズドン!!
銃声が響くと同時、銃身の先端に魔法陣が筒状に現れ、発射された銃弾を加速。
夕闇に染まり始めた大地を高速で二発の銃弾が軌道を不規則に変えながら飛翔していく。

「っく!!」
ギッギィィン!!
上下左右、何処から来るのか解らない高速の銃弾を付加されているわずかな魔力を感じ取って、一発を叩き落すが・・二発目は軌道を逸らすのがやっと。
ドシャリと、ロゼの乗る馬が倒れる。
「陛下!!」
「私の事は構うな!防御を緩めるな!!」
言い捨てると銃弾が飛んできた方角を睨むが、ただ荒涼とした大地が広がっているだけ。
「次の一射で、位置は確認します。全軍突撃用意!!」
長剣を鞘に収めると、手を伸ばす。
「・・・・来なさい。」
ビシ・・ビシビシ・・
空間が音を立てて裂けていき、裂け目にロゼは躊躇い無く手を差し込む。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫