《MUMEI》

「栗栖〜」

トイレから出たところで、隣のクラスの子に呼び止められた。

「なにー?」

「栗栖さ、栗原くんと仲良いよね??」

「え…、う、うん、まあ…」

「ほらっ、やったじゃん!」
「う、うんっ」

友達の後ろから現れたのは、知らない女子だった。

「この子さ、栗原くんのこと気になっててさ!」


…うそ


「悪いんだけど栗栖、ちょっと協力してあげてくんない??」


いやだよ――


「栗原くん、いろんな色のもの集めてんじゃん、何色が一番好きとかさ、教えてあげてよ」


……栗原の、好きな色…



「うん、わかった。
好きな色聞いてみるよ」

「本当?!」
「ありがとう!!」



あたしは、必死に作り笑いをして、2人とわかれた。

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