《MUMEI》
一葉の恋
―次の日


『わっ!遅れる!』

「…途中まで乗っけてやるよ。」


ぼーっとしながら、今日もおにぎりを作っていたあたしにそう言ったのは、兄、次男の大島一樹(オオシマカズキ)。

大島家の次男、現在高2。

あたしとは4つ違いで、誕生日を迎えたら17歳…今は16歳。

3人兄妹は真ん中が浮く、と言われているように、どうして大島家にこんなのがいるんだろうってくらい、破天荒。

中2から飲酒・喫煙、高1からスロット・バイトを始め、いつの間にか貯めたお金で教習所に通い、免許を取りバイクも買った。

中学ではあたしや一と同じ塾に通い、…

現在一と同じ、某有名名門男子校に通っている。


『…でも、方向違うでしょ?』

「いいじゃん、すぐだろ。待ち合わせのとこに行けばいいの?」

『うん!ありがとっっ!』

「おぅ。先に外行ってるから。」


荷物をまとめて外に出ると、待っていたのは…



『…やだ!!!』



バイクに跨ったカズ兄(カズにぃ)…


「え、なんでよ?」

『だって…。』


バイクがうちに来た日、乗せてやる、と言ったカズ兄の後ろに乗ると、しょっぱなからウィリーした。


『…怖すぎる。』

「はは、俺上手くなってるよ?」

『ん〜…。』


カズ兄の上手い下手じゃなく、バイクそのものがもうね、…怖い。


「…。」

『…。』

「…鍵、取ってきて。」

『りょーかいっ!』


もちろん、自転車の鍵。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫