《MUMEI》 私は、職場に着くと、更衣室で制服(クリーム色のポロシャツ・ハーフパンツ)に着替えた。 それから、同じ色のバンダナ・エプロンを付ける。 靴も、白いスニーカーに履きかえた。 ちなみに、今日はメイクも控え目にしている。 (よし) 身支度を整えた私は、タイムカードを押した。 そして、上司から、担当する清掃部屋の部屋番号が書かれた紙と、部屋の鍵を受け取る。 (…一本足りない) 週末だから、チェックアウトギリギリまで過ごすお客が、時々いる。 そうすると、清掃のペースが悪くなる。 「じゃあ、行きます」 「あぁ、後で鍵、届けるからな」 「はい」 私は、担当フロアに向かった。 そして、倉庫から、シーツや備品を積んだ台車を出す。 廊下の指定の位置まで押していると、一組のお客が、部屋から出てきた。 それは、私の清掃する部屋だった。 私は、やっと出たのかと、安心した。 (あ、れ…?) 私は、その男性二人組に、見覚えがあった。 そして、 私は彼等とすれ違った。 前へ |次へ |
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