《MUMEI》
相談
帰りの車の中で、私は一生懸命頭の中を整理した。

私の知る限りでも、仲村君は、好きな女の子がいた時期は、何度かあった。

だから、仲村君は、『女が駄目』な人種ではない。

ということは、

『男も女も愛があれば大丈夫』な、人種という事になる。

…私の身近に、そういう人が、二人いた。

…母さんと、大兄さん、だ。

(そういえば…)

大兄さんが、ドイツから帰国した時の雰囲気と、再会した仲村君の雰囲気が、似ていた。

私は、大兄さんに連絡をとった。

「ただいま」

「おかえり」

私がマンションに戻ると、大兄さんが、中で待っていた。

「ごめんね、急に」
「いいよ。…どうした?」
優しく微笑みながら、大兄さんが質問してきた。

「…ねぇ、大兄さん」
「ん?」

私は、思い切って、訊いてみた。

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