《MUMEI》

「ん?」

私は、仲村君の名前は伏せて、同性愛者に、異性の友人として、何ができるか訊いた。

「同性愛者って男同士?」
私は、頷いた。

「異性って、女だよね?」
私は、また、頷いた。

「カミングアウトしてない・又は、できないのなら、……とか?」

(それなら…)

私にも、できるかもしれない。

「まぁ、友人ならいいけど…好きな人なら、辛いぞ」
大兄さんが、私の考えを見透かしたように、警告した。

「…いいの」

私の、答えに、大兄さんはため息をついた。

「…まったく。志穂は、人の幸せばかりだな」
「ただの人じゃないもの。…大切な人、だから」

私の決意が伝わったようで、大兄さんは、後は何も言わずに、アパートに帰っていった。

夜になり、私は、仲村君の携帯に、メールを送信した。

『話したい事があります。近いうちに会えますか?

その時、できたら一緒にいた彼も連れてきて下さい』―と。

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