《MUMEI》
提案
四月に入り、二度目の週末。

四月生まれの私は、先日誕生日を過ぎて、25歳になっていた。

(落ち着いて…冷静に、冷静に…)

私は、深呼吸をしてから、待ち合わせの居酒屋に入っていった。

ここは、仲村君と再会した、同級会が行われた全国チェーンの居酒屋だ。

「いらっしゃいませ」
「…待ち合わせなんですけど」

私は店員にそう言って、辺りを見渡した。

(…いた)

私は、すぐに仲村君達の姿を見付けた。

「お疲れ〜
ごめんね、待った?」

私は笑顔でそう言って、足早に、仲村君達の向かい側の席に座った。

仲村君は、『ゆうき君』の隣に座っていた。

「いや、大丈夫だよ」

仲村君が、笑顔で言う。

実際、時刻は、待ち合わせ五分前だった。

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