《MUMEI》

「初恋!?」

私の意外な言葉に探し屋はそう叫んで、口をポカンと開けた。


「そう。私の初恋探して。」


「初恋探すって?」


「私、自慢じゃないけど、恋したことないの。」


「確かに、全く自慢にならないね。」


「……………。」


「…ごめんなさい。続けて下さい。」


「……で、私恋っていうのがよく分からないから、私の初恋探しをしてほしいの。」


「つまり恋できるように手伝えってこと?」


「まぁそういうこと。」


「…なんでも探すのが、僕の仕事だけど、恋ってのは他人が探すものじゃないんじゃないかな…?」

とポリポリと頭をかく、探し屋。


「………あの時、私が誰かさんを助けなかったら、誰かさんは脱水症で命の危険があったんだろうな…。」

「…………。」


探し屋のすべての動作がぴたっと止まった。


「それなのに、誰かさんっていう人は命の恩人の頼みも聞いてあげないんだよ?どう思う探し屋?」


探し屋の頬に汗がツーっと流れた。

少しの沈黙の後、探し屋は言った。


「……じゃあまず、加恋ちゃんの好きなタイプから聞こうか?」

そう言いながら、探し屋の口の端が、ピクピク動いたのを私は見てないふりした。

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