《MUMEI》

「何だと!」

屋代君が私を睨んだ。

私は直感した。

屋代君は、恐らく、『女が駄目』な人種だ、と。

だから、私に対して、容赦ないし、簡単には、信用しない。

私は、説明を続けた。

「実はね、私はSEXも子供もできないの。
だから、普通の結婚はできないけど、ずっと独身は寂しいでしょう?

だからね。

一生一緒に住んでくれるだけでいいの。
屋代君という恋人がいても構わない。

何だったら、三人で暮らしてもいいの

別に、今すぐ結婚してってわけじゃないの。とりあえず、友達として、一緒にいられるか、一年間試してから、決めてほしいの。

二人は恋人同士だけど、結婚は無理でしょう?
それに、二人共独身だと、二人の仲を疑う人だって、出ると思うの。
そういう時、私は便利だと思うの」

―そう。

大切な、大好きな仲村君が、屋代君という男の恋人と幸せになる為に、女の私ができること。

それは、カモフラージュの為の、『偽装結婚』をする事だった。

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