《MUMEI》 一気に説明して、私は、二人を見つめた。 屋代君は、呆れたような、馬鹿にしたような表情… だけど… 仲村君は… 私の話に、少しは興味を持ったように、見えた。 そこで私は… 「悪い話じゃないでしょう?」 と、仲村君に声をかけてみた。 「断る!」 「あなたにはきいてないわ」 そう。 私にとって、一番大切なのは、仲村君だ。 私は屋代君の言葉を無視した。 (間違いない) 仲村君の表情をもう一度見て、私は、仲村君が私の『提案』に興味がある事を、確信した。 今日は、それだけで十分だった。 「じゃ、今度はカラオケでも行きましょうね」 そう言って、私は自分の分の代金を席に置いて、店を出た。 店を出た所で、私は大きく深呼吸した。 まだ、心臓がドキドキしている。 私は、ゆっくりと、マンションに帰っていった。 その日は、なかなか寝付けなかった。 前へ |次へ |
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