《MUMEI》
先週に
レイのキスが変わった。

「甘くなった。」

舌を流すと反発していた口内が受け入れてくれていた。

「甘い?」

不審がられた。

「惚れてくれた?」

「馬鹿じゃない。それよりも進級しなさい。」

また子供扱いだ。

「辞めてホストにでもなろうかな?」

金髪にでもして……

「そんなことばっかり考えてないでレポート出しなさいよ。
今日はそのために来たんだから。ダブったらおじさんおばさんに示しがつかないでしょう。」

元から誇れるような子供ではない。


「大学辞めちゃおうかな?」

心配してくれることに胡座をかいてレイにキスをもう一度ねだる。


「仕送りだってしてもらっているんだから、我が儘言わないの!」

強引に唇を剥がされる。

「……レイは教師になるために此処に入ったんだろ?俺には何も無い。」

毎日、遊んで飲んで女抱いての繰り返し。
それは全部レイが俺を心配して探し当ててくれるからだ。
俺を皆に見ていて欲しい。


それでもレイは昭一郎を、昭一郎は誰かを見ている。



俺を誰か見てくれ……

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