《MUMEI》

「赤玉はないけどビオフェルミンじゃだめ?」



「あー効くならなんでもくれ…、有難う」





秀幸は俺から水の入ったコップと薬を受け取るとごくごく飲んだ。




「俺シャワー浴びてきて良い?」



「は、ハハッ?もういきなりかよ〜!俺に会った途端エッチな気分になっちゃったか!
も〜うゆうちゃんは本当に可愛いなあ…、
あーでもなあ、今日は本当体調最悪なんだよ二日酔い酷くてなあ、ごめんなー、ちゃんと抱いてやる自信ねーから今日は勘弁してくれなー」



「ば、バカっ!違うよ、寝汗いっぱいかいたから浴びたいだけだもん!ほら、ベタベタしてるでしょ?」



俺は秀幸の手を掴み俺の首筋にあてる。
「ね?ほら……」




「裕斗…」





秀幸は突然真剣な表情なって




「誘ってんの?」



「あ…」




「やっと、触れられた」



「ひで…」





ごく自然に顔が近づきあい、唇が重なった。






ただ合わさるだけの数秒。




それだけで心の中が秀幸でいっぱいになる。





俺の額に秀幸の額が触れた。





「もう離れてんの限界だって、もう付き合えよ」





「もうちょっとなんだよ、もうちょっと待って、本当に後少しなんだよー」




「はあー?なんだそれ、もーうダメ!別れてんの撤回!ゆうちゃんは俺だけのモノに決定」





ぐっと腰を引き寄せられ、俺の顎を掴みまた唇が重なる。





「ンッ…ふ…」





秀幸の甘いキスの魔力で力の抜けた俺に抵抗の二文字はない。





床にへたり込み壁際に追いつめられる。





半端に外してたシャツのボタンが綺麗に外され、タンクトップも脱がされた。





秀幸も乱暴に上半身裸になり、そしてきつく抱きしめられた。




生々しい肌のぬくもり…。




こんなの久し振りすぎて目眩がする。




首筋を唇でなぞられ、俺は、はぁと甘い息を漏らしながら秀幸の頭を抱え込んだ。








前へ |次へ

作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ

携帯小説の
(C)無銘文庫