《MUMEI》
報告 〈おれ〉
詳しいことは、また後で報告しあうことにして、


おれたちは取り敢えず病室に戻ることにした。


たぶん、周りの大人たちが探してんだろ。



廊下を歩いていると、



「みつる!!!」




野太い声と共に、



師匠が、走ってきた。




「…師匠!!」



嬉しくなって呼ぶと、



師匠はぽかんとした表情になり、立ち止まった。


慌てて訂正する。



「あ、いや…あの、
し、椎名くんの、ほら、お師匠さんなのかなって…」



蓬田が、困った顔になる。



『…おれの、空手の師匠の清水せんせー!!』



小声でささやく。



「あ、そうそう!!わた―…おれ、よく師匠の話するから…ね!!」



蓬田が必死に弁解する。



師匠は



「なに!?そうかそうか、
みつるはやっぱオレを尊敬してんだな!!」



そう言って、蓬田の頭をがしがしと撫でた。


師匠は、熊みたいにでかくて、顔つきも恐いけど


すっげー優しい。


おれは、そんな師匠を、

ほんとにソンケーしてんだ。

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