《MUMEI》

篠崎の言葉で、半ば強引に学校を後にした。

向かう先は…わかんない。

それより…

今日知り合ったようなもんな人と、二人で歩くとか…


緊張する。

これは男女も何も関係ない、いつもの事だけど…

何喋ったらいいの?(泣)


『…部活、慣れた?』

「ん?あ〜…そうだね、楽しいかも。」

『そっか…。』


ああ…

そっか、じゃなくてもっとなんか言葉をかけろ一葉!!

えーと…


「一葉、ちゃんと飯食ってんの?」

『え?…うん、食べてるよ?』


本当に有り難い事だけど、でもみんな心配しすぎじゃない?


「保健室での会話、聞いてたんだよね。」


そっか…居たんだっけ。


『あれね…。でも、へーきだよ、ホント。あの先生も広田もみんなもさ、ちょっとオーバーだよぉ。』

「まあ…。人の事情に首突っ込むのってあれだけど。…一葉、あんまり親に頼んないだろ。そんな印象受けた。頼らないのか頼れないのかは、わかんないけど。でもね」


…?


「自分が子どもである事を、諦めるな。」


『え…。』


「子どもなんだよ、唯一の両親から生まれた。今まで色々頑張ってきたなら、頼りたい時に頼ってもいいんじゃないの?いくら親だからって、一葉が伝えようとしなきゃ伝わらない事だってある。だから、諦めるなよ。」


こんな事、言えちゃうキャラだったんだ…


全然喋った事なかったのに…本当によく見てる…


「…なんてね♪」


良い奴なんだね…


(諦めるな)


…ダメ、泣きそう。


『ありがとう…っ』

これが精一杯だった。

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