《MUMEI》

「どした、慎?」

立ち止まる仲村君の顔を、屋代君が覗き込む。

「どしたじゃない!この状況を説明しろ!」

仲村君は、私と屋代君の顔を交互に見ながら叫んだ。
「あぁ」
と屋代君が言いかけたが…
「あのね…」
私が、説明した。

「つまり、屋代君は、この前の私の提案を、認めてくれたの」

私の言葉に、仲村君が呆然とした。

そして、少し考えて
「俺と結婚ってあれ?」
と確認すると…

「ちょっと違う」
屋代君がすぐに、訂正した。

「とりあえず、一年間友達付き合い許可しただけ。
最終的に決めるのは、慎だから」

(良かった)

さっきの私の提案のおかげで、屋代君の態度は冷静だった。

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