《MUMEI》

「大学は学んで考えるための四年間でしょ?ゆっくり探そうよ。
何?今日は甘えん坊日?」

頭を撫で撫でされる。無性にそれが心地良くて、目を閉じて指の感触に身を任せた。

「私は知ってるよ。国雄は人一倍気配りが出来て思いやりがある人間だって。」

「嘘つけ」

初めて褒められた。

「言わなかっただけ。

……国雄は悩んでいると甘えたがるよね。
お悩みは将来のことだけなの?」

「……知ってるくせに」

俺を好きじゃないからだ。
それが俺を狂わせているんだよ。



「勉強しよーぜ?」

にやり、とレイが笑う。
俺に侵せない範囲だと線引きされた。


それならば俺も言うまい。

あの指で懐柔させられるところだった。








先週俺が実の兄を犯したことは言うまい。

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