《MUMEI》 お気に入り(ここって…) 「らっしゃい!」 私達三人が入ったのは、秀兄さんの行きつけのラーメン屋だった。 秀兄さんと一緒に、私も何度か食べに来た事があった。 店内は、あまり綺麗では無いけれど、料理人の秀兄さんがオススメするだけあって、味は、確かだ。 前を見ると、仲村君が、小声で屋代君に声をかけをかけている。 『女連れで来る店ではない』とでも、言っているのかもしれない。 仲村君は、私をチラッと見た。 (実は、好きなのよね、ここ) 私は、正直嬉しかった。 …同僚や、女友達は、こういう店を嫌がるから、来たくてもなかなか来れなかったのだ。 「ここ、美味しいですよね」 「へ?」 不思議そうな仲村君を横目に、私は上機嫌で、テーブル席に座った。 前へ |次へ |
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