《MUMEI》

「高山、この店来た事あるのか?」

「うん。たまに」

仲村君が、意外そうな顔をした。


「慎は、チャーシューメンだよな」

屋代君の言葉に、仲村君が頷いた。

(チャーシューメン…)

ここのチャーシューメンは、私と秀兄さんのお気に入りだった。

少し不揃いな、手打ち麺に、こってり目な醤油味のスープ。
それに、分厚いチャーシューが、五枚も乗っている。
(いい、わよ、ね?)

別に、友達だし。

私は、私の好きな物を、食べる事に決めた。


そして私は…
「私も、チャーシューメン」

と、手を小さく上げて言った。

屋代君が、カウンターにいる店主のおじさんに、チャーシューメンを三つ頼んだ。

「水持ってくるね」

「あぁ」


私は、いつものように、セルフサービスの水を取りに行った。

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