《MUMEI》 私が選んだのは、大好きなロックバンドの曲だった。 ちなみに、今月出たばかりの新曲だった。 この曲はイントロが長いので、私は、歌い出しまでに、心を落ち着ける事ができた。 元々男の曲だが、女性の私でも、このキーは合っていた。 普段は、周囲を気にしてなかなか好きな曲を歌えない私は、ここぞとばかりに熱唱した。 …早く、さっきの光景を忘れたかったし 「曲、入れないの?」 私は、歌い終わると、仲村君達の方に、本とリモコンを置いた。 『あなた達のキスシーンなんか、興味ありません』という、態度で。 駄目押しで、私は二人を茶化してみた。 「いちゃつくのは構わないけど… そこからじゃ、入口から見られると困るし、席替えしましょうか?」 ―と。 前へ |次へ |
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