《MUMEI》

『ただいま〜…っと。』

誰もいないけどね。

今日はお母さんは…


夜勤。

…失敗した。

話なんか出来ないし。

ご飯は…


ない。

…ですよねー。

まあ今更だし。


『はぁ。』

ご飯も予習もいいや、気分じゃない。

お風呂もいい、だるくて無理。

…寝よ。


頑張ろうと…思ったんだけどな。

…仕方ないよね。


それにしても篠崎…

意外だったなぁ。

あ、広田も。


…ただ友達が多いだけじゃない。

それ相応の理由があるから…。




(あれ、もしかして…)




…もしかして?




何?




…あ、そっか。




あたしは篠崎が…







好き。







―次の日の朝

シャワーを上がると、お母さんが台所に立っていた。

なんだろ?いくらお母さんの休みでも、朝ご飯はいらないってわかってるはずなんだけどな。


「おはよう。」

『…おはよ。』

「今朝学校から電話をもらったの。昨日は出られなくて…倒れたんだってね、ごめんね、気付いてあげられなくて。今日は学校も塾も休みなね。…ご飯食べたら、病院行こう。」


朝ご飯の…お母さんが作った朝ご飯の、いい匂い。


『うん…!』

明日から、もっともっと楽しくなるよね。

…と言っても、明日からGWだけど。

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