《MUMEI》
「何ガン見してんのさ、もう」
裕斗は腰にバスタオルを巻きながら冷蔵庫に直行。
「いやー、相変わらず真っ白だなあって、全然焼いてこなかったんだな」
「ちょっとでも焼くと大変な事になるんだよ、痛くて3日は寝らんないわ皮膚科に行かなきゃで大変なんだから…はい」
俺に冷え冷えの烏龍茶を渡す裕斗。
ったく、だから俺は腹壊してんのによー…。
「…悪いがこれ、ヤカンで温めてくれ、レンジでも良いし」
「無いよ、そんなの」
「あー、まだ買ってねーのか…、じゃー鍋で」
「だからなんにもないの!」
俺はキッチンに直行。
勝手に扉を開けたり引き出しを開ける。
「なーんもねー!初めてみた!こんな家!」
「だってまだ越したばっかりだもん」
裕斗はソファに置いてある衣類からTシャツを拾い着だした。
「浴槽にお湯はっといたから入ってきなよ、腹暖めたら違うんじゃない?」
「あーそうか」
「ついでに烏龍茶もそこで温めれば?」
「そうか、そうさせて貰うか」
すっかり着込んだ裕斗。
う〜ん、短パン姿も可愛いなあ。
▽
まだユニットバスじゃねーだけましだが余りにも小さな浴槽。
こんなん既製品であったんだっつーみてーな…。
まだ出来て間もなさそうな綺麗なマンション。
部屋は8畳程あって、3畳程の窪みに、なかなか洒落た赤いキッチン、揃いのカップボードが備え付けられている。
ちょっと余裕のある大学生が住みそうな物件。
初めての一人暮らしには丁度良い感じだ。
熱めの湯が悪い毒も出してくれる気がする。
そういや今日は何も食ってねー!はあ…あのキッチンじゃ自炊出来ねーし出前じゃーヘルシーフードに出会えねえ。
外食は億劫だし…、風呂出たらコンビニ行こう。
本当はコンビニも億劫だが…。
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