《MUMEI》 実際あの席になってから、ナオと芳人くん…それから篠崎で、ちょこちょこ笑い合う声が聞こえたりしていた。 ナオは笑い上戸だし、男二人で何かしでかしてるんだろう。 そんなある日。 ナオからまた、芳人くん絡みの手紙が飛んできた。 |今日体育館使えないもんね? |放課後ちょっと話聞いて!>< |芳人くんの事、 |さつきにも言っちゃった♪ らじゃーらじゃー(笑) 了解と応援の意を書いた返事を、いつものように消しゴムに挟んで… 教師の隙を見て振り返る。 …うわっ ノートをてきぱきと取り、間違いなく知らん振りなナオに反し、芳人くんと… 篠原と。 がっちり目が合った。 むっちゃニヤニヤしてる。 これは… まずい。 消しゴム奪う気でしょ? 芳人くんなんか腕を伸ばせばすぐだし。 前を向き直して、えーと… 手紙を抜き取り、ノートにでっかく い い よ だけ書いて、ガッとノートを掴み、バッと振り返って、グイッとナオの方に突きつける。 「うぉっ?!」 ナオが変な声を出すもんだから、しかも席も前の方だから、芳人くんや篠崎以外の何人かも笑い出し… あげく教師にも見つかり、ちっちゃな説教をもらった。 手紙は死守したけど。 あたしは篠崎に、ナオは芳人くんに、恥ずかしいところを見られ… 散々だった。 そして、そんな放課後。 前へ |次へ |
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