《MUMEI》

私が、彼―良幸さんと知り合ったのは、私が18歳の時。

短大の入学式で、付き添いで来ていた私の同級生の保護者が、同級生の兄の良幸さんだった。


当時、良幸さんは、26歳。
私とは、8つ年が離れていた。

入学式が終わり、私が、父さんと帰ろうとした時。

「あ、あの!」

良幸さんが、私を呼び止めた。

「はい?」

私が振り返ると…

「好きです!一目惚れです!付き合って下さい!」

突然、告白された。

「えぇ?!」

当然、私は戸惑った。

私は、中学では男子に女扱いされなかった。

高校は、女子校だったし。
告白されるなんて、初めてだった。

「あ、あの…」
「すみません突然!とりあえず、友達から、お願いします!」

ギュッ!

そう言って、良幸さんは、私の手を握って、頭を下げた。

その日は、『友達なら…』と返事をした。

しかし、良幸さんは翌日から、積極的に私にアピールを開始した。

(私なんかのどこがいいんだろう…)

最初は良幸さんの言葉が信じられず、避けていた。

でも、二年間、好きだ・愛していると言い続ける良幸さんに、次第に惹かれていった。

(この人となら、幸せになれるかも…)

そう、思った。

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