《MUMEI》

それは、平日の昼間の事。
…この頃私は、『主治医が男だから』という理由で、通院させてもらえなかった。
薬は、良幸さんがもらいにいくだけの状態だったが、その薬すら、少なくとも一ヶ月間は、買ってもらえていなかった。

私は、酷い頭痛と、意識朦朧な状態が続いていたが。
私の持病は、見た目にはっきりした症状が出にくいから…

良幸さんからは、『サボり病』と罵られ、毎日暴行を加えられていた。

…そこには、性的なものも加わっていた。

そんな状態の中、たまたま休みだった大兄さんが、驚かせようと、突然私達のアパートを訪問した。

チャイムを鳴らしても、呼びかけてみても、私の返事が無かった。

その時私は、持病の発作で、意識を失い、部屋の中で倒れていた。

心配になった大兄さんは、大家に頼んで鍵を開けてもらった。

すぐに大兄さんは救急車を呼び、適切な処置をとった。


そのおかげで、私は一命をとりとめた。


私が目を覚ますと、高山家の皆が、私を囲んでいた。
…皆、真っ赤な目をしていた。

私が入院している間に、母さんが、弁護士を雇い、離婚手続きを進めていた。

そして、私は、良幸さんに会うことなく、離婚した。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫