《MUMEI》 ―教室 頑張れ〜、菜緒子。あんたは出来る。 あれで、良いとこ持ってるし。 一葉もわかってるんだ。 あんな風に乗っかってくるのは、さすが幼馴染み。 「ねぇさつき、ナオは大丈夫だよね♪」 『うん、いざって時の度胸がハンパないから(笑)』 「だよね〜、ナオは中途半端に投げ出すような事しないもん。」 『そこが取り柄だね。』 「にしても…玄関(笑)」 『…見事(笑)』 ほんっとに笑った〜。 何か仕出かすとは思ってたけど、まさかのダブルパンチ。 「芳人くんの方にも…言ってないんだよね?」 『ん?…ああ、そうそう。本人達だけだよ、知らないの♪』 「そっか…悪い事したのかな〜…。」 『いや、いいじゃん?周りが囃し立てたって、結局は自分等がどう動くかだし。』 すぐ後ろ向きに考えるのは昔から一葉の癖。 …そう、実は。 二人は両想いだ。 まず、一葉と共に菜緒子が結衣ちゃんに相談をする前日の事。 芳人くんは、同じバレー部のアタシに探りを入れてきた。 菜緒子の事好きなの?って聞いてみたら、うん(笑)と。 その足で芳人くんは結衣ちゃんのとこにも行き、打ち明けた。 で、あの日。 結衣ちゃんは昨日の今日でびっくりしたみたいだけど、ここでバラしても二人の為にならん!と踏んで、二人には黙ってた。 結衣ちゃん曰く「ナオのあの熱さを見てたら、遅かれ早かれいずれ告白してただろう。だから可能性を匂わせて、ちょっとだけ背中を押した。芳人にも、自分から行動しろとは言ってある」って。 あの場にいたという一葉にも、後に事情を説明していた。 今回勢いではあるけど、芳人くんが1人でチャンスだったから、あれだけ菜緒子に告白をごり押しした訳。 「ナオは…凄いなぁ…。」 髪をいじるこの癖。 この子もしかして… 前へ |次へ |
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