《MUMEI》
仮面
―翌日。

食事ができそうもなかった私は、引き続き、点滴で栄養をとっていた。

少し、夏バテもしていたようで、『体力が落ちている』と、大兄さんに言われた。

点滴中、暇だったから、秀兄さんが持ってきた朝刊を読んでいた。

私の記事は、どこにもなかった。

渡す時…

「ちゃんとやっておいたから」

と、言われた意味が、やっとわかった。

だから、秀兄さんは昨日病院に来なかったのだ。

(皆に、迷惑かけたな…)

私は、早くいつもの私に…
いや。

いつも以上に、『落ち着いて、冷静な私』にならなければ、皆に心配をかけると思った。

(そう言えば…)

仲村君と屋代君に悪い事をした。

約束をすっぽかしてしまったし…

そんな事を考えていた。

―その時。

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