《MUMEI》 ガラッ 「お姉ちゃん、仲村先輩来たよ」 貴子ちゃんが、ノックもせずに、入ってきた。 (え…?) 私は、耳を疑った。 (今、何て?) すると… 仲村君が、戸惑いながら、貴子ちゃんの後から入ってきた。 「…」 仲村君は、…私を見て、絶句していた。 「仲村君…」 私は、いつものように… 「ごめんね?昨日は行けなくて」 と、笑顔で言った。 …変わらぬ口調で。 …変わらぬ笑顔で。 (どうか、…) 仲村君に、弱い私がバレないように。 こんなに弱い私は、きっと、仲村君に嫌われるだろうから。 私は、必死で、いつもの、仲村君に接している私の『仮面』を付けた。 前へ |次へ |
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