|
《MUMEI》 ｢藤田、どうしたの。中入らないの？｣ 木下先輩に見付かった。放送室に入ろうとするので咄嗟に引き止める。 ｢……待ってください。｣ 入りたいのに入れない。 佐藤が部室に居たときから一人寂しそうにしているのを見ては悦に入った。 俺をどこかで考えてくれていることが嬉しかった。 ｢……その、佐藤と今、喧嘩してて｣ 嘘だ。 木下先輩は中を一瞬だけ覗いた。 ｢七生が経由して佐藤と話してるの？｣ そういうことにしておく。 ｢じゃあ俺が藤田の話を聞けばいい？｣ なんと可愛く首を傾げることか。 何人これで誑かされたのだろう。 前へ |次へ |
|
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |