《MUMEI》

―すると。

「高山の手って柔らかいのな」
「!」

硬直している私の手の平を、仲村君が自分の頬に添えた。

仲村君の肌は、想像以上に、きめ細かく、やわらかかった。

「もう、はなして…」

私は、消えそうな声で頼んだ。

しかし、相変わらず、仲村君の手は、振りほどけなかった。

私は、いっぱいいっぱいの状態だった。

「慎」

屋代君に促され、仲村君はやっと、手を離した。

(た、助かった…)

もう、心臓が持たない。

私は、屋代君に感謝した。

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