《MUMEI》
体育祭
「一葉、さつき、何に出る?」


登校中にナオが聞いてきた。


『…ん?何の話?』


するとさつきが…


「そうだ、体育祭あるんだっけ。」


…げ。


「そうだよ〜ぅ、今日決めるから出たいの考えておけって、広田が言ってたじゃん。」

『そうだった…。どうしよう。』


運動は苦手じゃない…

むしろ得意な方。

入塾する際に出した小学校の成績表も、体育と図画工作だけは5だった。

だけど…


なんせクジ運もなければ、ジャンケンも弱い。

人気のある種目は、大抵逃す…。


「ムカデ一緒に出ようね!」


ナオが言うと、


「うん、けどあんた、今年は転ばないでよね。」

『あはは、去年面白かったね♪』

「なんで覚えてんの?!」

「忘れる方が無理だから(笑)」


去年、決勝戦でナオのチームは良いペースで先頭を走っていて、1年生の快挙という事もあり応援席も盛り上がっていた。

ところが、ゴール目前でナオが派手に転んで…

連鎖でメンバー全員が転倒。

結果…ビリに。


「忘れてくれたらジュース奢るっ。…あれ?あのちっちゃいの、サユじゃない?」

「あ、ホントだ。」

『うわ、ちっちゃー。』

さ「あんたが言うな(笑)」
ナ「あんたが言うな(笑)」



サユを捕まえて、学校に着いた。

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