《MUMEI》 体育祭(クラスメイト)―教室 『おはよ、葉子ちゃん♪』 クラスメイトの、後ろの席の葉子ちゃん。 「あ、一葉。おはよ♪」 井上葉子(イノウエヨウコ)。 1年の頃も同じクラスだった。 葉子ちゃんは、学校は来たり来なかったりで…。 教師に対する態度や、関心のない生徒に対する態度は、素っ気ない。 傍から見れば…浮いた存在。 あたしは去年同じクラスだった誼み(よしみ)で…かも。 『体育祭、何に出るか決めた?』 「あ〜…今日だっけ?」 『だよ、あたし運命走がいいっ。』 どうせなら楽しいのがいいもんね。 「はは、そっか。…あたしは行くかどうかもわかんないし、なんでもいいや。」 『えぇ?!出ようよ〜!』 「じゃあ、一葉が決めておいて♪」 そう言うと、葉子ちゃんは机に頭を乗っけて眠ってしまった。 そして放課後 『葉子ちゃん…。挙手で決めてくみたい…だ。』 「…だね。」 広田が黒板に種目を書き連ねている。 「余ったのでいっか。」 『…それ、たぶん200か800m走だよ?』 「ん?気にしない気にしない♪」 『あたし絶対いやっ。』 200や800のような、なんとも中途半端な距離が苦手だった。 どうせ走るなら… 100mの全力勝負か、1600mの体力勝負がいい。 でも、1600mは女子にはないんだよなぁ。 「一葉、去年出てたじゃん。」 『あれはジャンケンで負けたのっ!』 「そうだったんだ♪」 くすっと笑う葉子ちゃん。 去年こうやって、種目を決めた日も来てなかったっけ…。 体育祭当日は、仲間だっていう年上の何人かとフェンスの外から見てたよね。 …私服で。 「あ…2つ出なきゃダメなの?」 『…そうだった!』 前へ |次へ |
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